結婚できない男

30歳独身医師♂の結婚観

を書いてから1年間経ちました。
想定通り、結婚にはまだほど遠いという感じです。

今の仕事の特性上、結婚できる余裕がないというのはありますが、とは言え、他科のお手伝いをしていた3ヶ月間はかなり時間に余裕があったので婚活に励んでみました。ここに記録しておきます。

結論を一言でいうとオンラインで婚活しやすくなったなという所感です。

まず最初は大学の時の先輩に連れられ銀座の相席屋に。やはり安い料金(奢ってもらってなんですが)というのもあり、ドンキホーテばりの猥雑とした感じでなるほど♂と♀が出会うという事に関しては文句なしのパフォーマンスでしたが、調査するという気持ちにしかならない感じと言えばいいでしょうか。エジプトにひとり旅した時に、あえて冴えないレストランで地元民が何を食べてるか知りたい的な感情しか湧きませんでした。(エジプトでは実際美味かった料理もありましたが相席屋では・・・)

次は六本木の婚活用のバーに行ってみました(実は以前にどこかの主催の20対20の婚活パーティに行った事がありますが、全員からリクエストもらうというしょうもない無双をしたことがありました。誰にも返信せず、ただただ詩で婚活の哀愁を詠んでいました。「5分だけ 話してわかるの お金だけ」)

六本木のそのバーは1回1万円ぐらいで4-5人の女性を1人ずつ紹介してくれるようなシステムで相席屋よりも高い分、期待もしました。実際に綺麗な女性を紹介してくれますが、気になったのは年齢の高さでした。希望する欄には25-30歳のところにチェックしたのですが、紹介されるのは31-33ぐらいの女性で何故かストライクゾーンやや高めのボールばかりを投げてきます。ただ周りをよく見渡すと納得しました。綺麗な人でそういう場所に来る方はやはり年齢高いです。そうなると相手に尋ねるのは「趣味」とかではなく「そんなにお綺麗なのに今まで結婚を意識させるような男性からのアプローチはなかったのですか?」という「今更こんなところで何をやっているのか」という尋問で、そこは大人の女性です。仕事に夢中でとか結婚を考えてた彼氏と別れてしまったなどそれらしい理由を教えてくれましたが私と同じ様におそらく性格に難があったんじゃないかなどと想像してしまいます。ですが、働いている年齢が高い女性と話すのは案外楽しく、スパイス会社大手に勤めてた人とカレーについて熱く語れたのは心の癒しになりました。

次にやってみたのが今、シェアも大きくなってきたオンラインマッチング(婚活)アプリの大手2社です。

両者ともプロフィールに30歳医師と書いたらリクエストがいっぱい来ました。もちろん前述の婚活パーティと違って使えるリクエストは無限なので数が多いからといって自慢は出来ないのですが、それでも1ヶ月で300-400人ぐらいからもらうとなかなか楽しくなります。1人1人のプロフィールをじっくり読みながら「30才なのに中身のなさそうな顔写真と文章だなぁ」とか「料理出来るアピールしているけどゴリ押しばかりでこっちの欲しい料理と味付けの擦り合わせは出来なさそうだなぁ」等、とかく難癖をつけていく性格の悪い作業をしていきました。最初はごめんなさいとか思いながらスルーしていきましたが、そのうち蝋人形の様な表情でスルーを繰り返すようになりました。

また「医師」と書かれた方からのアプローチを頂くと、「お互い苦労してますなぁ」などと昨今の医療事情の厳しさを感じながら苦労を労う気持ちでスルーしました。

ここ数年くらいから恋愛感情のようなものがなくなり、【誰かを好きになるのは「寂しさ」が必要】などと、さも分かった風な論調を居酒屋で友人相手にくだまいていたのですが、この蝋人形の心が溶けていくような発見もありました。

同い年ぐらいで大手の会社に勤める凄く綺麗な女性で、写真の撮り方も自分が可愛いように映る写真を選び、また活動的でもあることをアピールするものもチョイスし、プロフィールの文章も少し大人びた知性を醸し出しながらも背伸びした見栄っ張りが透けてみえるような人で、心が少し揺れました。昔、こういう人が好きだったなぁと思いながら、仮にお付き合いしたとしても不意に相手の自尊心を傷つけてしまったり、その薄っぺらさにイラっとしてしまったりしてうまくは行かないんだろうなと思いながらもイイネボタンを押しました。待ってる間に、その人の好きなものを見てみると貴志祐介とあったのでそういえば大学生の時に読んだなと本棚から「青の炎」を取り出し、この「知的な構成が好き」って言える自分が好きなんだろうなあとか、だけどこのトリックの穴にはきっと気づかないままだろうなぁとか想像する時間は少し幸せでした。結局スルーされたので「また、振られてしまったな」という感じで失恋してしまいました。

一回くらいは実際に誰かと会わないとなと思い、凄く可愛らしい感じの人で全くプロフィールを書いてなかったのですが、福岡出身とだけ書いてあって少し親近感を抱き、イイネを送ってみたらちゃんと実在する百道出身の人で共通する友人もいて話は盛り上がりました。プロフィールを書かなかったのは1週間で2000人くらいからアプローチが来て怖くなったとのことでそんな理由があるもんなんだと感心したのと同時に300くらいのいいねをもらった自分の中にあった3%ぐらいの自慢心を恥ずかしく思った次第です。何度かお会いしたのですが結局は自分の科に戻って忙しくなるからということをお伝えして終わりましたが彼女から教えてもらったムケチンというキャラクターは一時期ツボにハマってました。やはり私はくだらない話の方が好きです。

まだまだ婚活も始まったばかりで焦りがないのがまずいのですが、30才の終わりには「紀州のドンファン」(以下)の本を読んで自分を奮い立たせた次第でした。意外に率直な自分を晒け出した名著でした。また来年。