吾輩は医師である。妻はまだない。
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とまあ大上段に構えてはみたものの、医師だからといってパートナーに提供できるものは特に多いわけではありません。
医師は結婚市場においては優良物件の1つとされているようですが、多くの人のもつイメージとは裏腹に別にそこまで良いものではないだろうというのが医師側からの見方です。
人気を集める一因であろうその「年収」は1千万〜3千万程度であり、たしかに20代で大台は乗るもののその後の伸びは優秀なサラリーマンに後塵を拝してしまいます。またこのくらいの所得だと累進課税により手取りもぐっと減ります。ただ職にあぶれることはないという点では勝るかもしれません(訴訟リスクはありますがサラリーマンの倒産・リストラよりは確率は低かろうと思われます)
結婚は共同生活なので「家庭に与えられる時間」も必要な事項です。しかし、まともな医療を提供しようと思えば、かなりの時間制約を受けます。私が岩手にいた頃だと夜間休日の呼び出しや当直業務などあり自分の勉強時間を確保しようとすると、家庭のためだけに使える時間はかなり限られていたと思います。今は東京に来て仕事を少し変えたこともあり、夜間・休日の呼び出しや当直業務はぐっと減りましたが、(まだ仕事に慣れてないことや覚えなければいけないことも多いこともあり)平日は残業を前提として24時をすぎることもザラです。自分で仕事をコントロールできるようになればある程度は家庭のためだけの時間を作りやすくはなりそうですが、まだ自分がそうなっていないのでなんとも言えません。
「年収」も「家庭に与えられる時間」も与えられないとなると医者と結婚する意味なんてないじゃんと言われるかもしれませんが、まさしくその通りで「医者と結婚した」という些細なブランドイメージが得られるぐらいです。所詮は虚構ですが、女性は虚構の中に生きている側面もあるので、それが大事だという人を否定はしませんが私としてはあまり近づきたくない存在です。
じゃあ一体何が与えられるのかを考えてみようと思いますが、その前にまず自分が結婚や結婚相手に何を求めるかを考えてみようかと思います。
そもそも結婚というのは不倫したら法的に怒られて稼ぎの半分をもってかれるだけの不平等条約で稼ぐ側からすると扶養者控除以外は何も利点はなく、同等の稼ぎのパートナーだとしても法的に縛られることが増えるだけです。相手が稼ぐ場合だとラッキーではありますが、バランスが悪く制度としては破綻してもおかしくないはずですが根強く残っています。
その最大の理由は「安心感」でしょう。
「夫」「妻」という立場になるのはそれなりの手続きを踏まえるので覚悟を決めたような印象を与えますし、3組に1組は離婚するとはいえ、「恋人」よりもずっと一緒にいることを前提とされます。「誰かがそばにずっといてくれる」というのは個人の精神衛生上良いことだと思いますし、「ずっとそばにいる人」と社会的に立場が固められるということが魅力的に映るのも理解できます。特に自己のアイデンティティーが揺れ動きやすい人にとってはそうなのだと思います。
私が結婚をしたいなと思う点はここにあります。
私はあまり寂しさを感じないほうなのですが、それでも20代前半ぐらいまでは誰かが(恋人にかぎらず)そばにいてくれると嬉しいと感じていました。20代半ばぐらいからようやく一人であることに不安を感じなくなり精神的に安定したかなと思います。多くの人は「自分は何者であるか」がはっきりせずに不安を抱きながら成長し、ふとしたときに「何者でなくてもいいや」と一人で歩けるようになるのではないでしょうか。
結婚が与えてくれる「安心感」は「子」に有利に働いてくれると私は思っています。日本では結婚してこどもをもうけてちゃんとした家庭として見られます(例えば、婚外子だったりすると日本ではちゃんとした家の子としては見られない、こどもができても結婚しないとなるとクソ男と言われる)。「子」が社会的に認められた立場にいるというのはその子の精神衛生上必要なことだ思います。本来なら「父」と「母」と「子」がいてそれぞれの家庭の形があって良いと認め合えるのが成熟した社会でしょう。ただ、社会の未熟さをこどもが背負うことになるのは(私はクソ男と言われても平気だが)親としての責任を果たせていないように思えます。
要するに個人的にはこどもが欲しいし育てたいから結婚したいということです。まだ自分に生殖能力があるのかは検査したことはないですが、多分大丈夫です。自分のこどもをもちたいというのは本能的なものであまり理性的には説明できません。なので結婚相手を探すときは恋人を探すときよりも「子育て」の観点が入ります。3つにまとまりました。
1.「料理をするのが好き」
料理は人類の基本です。美味しい食事を食べたければ今では外に行けばいくらでも食べられますが、私は料理はヒトとしての営みを感じられる基本要素が詰まっていると思っています。上手でなくてもいいので料理をすることが好きな人は料理の良さをこどもに伝えられるのではないかなとおもいます。
2.「コミュニケーション能力が高い」
1人でもやっていける能力ということです。私は死亡リスクが他の人より高いと思っていますので、自分が死んでもこどもと楽しくやってくれそうだと私の精神状態も安定します。私もコミュニケーション能力は高い方ですが、女性独特の柔らかさはどうやっても及ばないし、特に洞察能力の優れた女性の共感能力が家庭にあると良い感じにこどもを慰めてくれそうです。
3 .「芸術的素養がある」
最後はこどものためというよりは自分のためです。子育ては20年はかかる大仕事なのでやはり長く付き合える人がいいなということです。芸術的素養というのはフェルメールの光の表し方がいいねとかショパンの曲の構成は素晴らしいねとかそういう類の東京女子あるあるの虚栄心を満たすためだけのペラペラな知識のことではなく、日常の私達が見過ごしている真実を拾い上げて表現しようとする姿勢のことで、日常を楽しもうとする癖がある人とは長くやっていけそうな気がします。
実際にこれらを満たす女性はかなりレアだと思いますが、5年くらいかけるつもりでじっくり探そうと思います。こうやって結婚相手に求めるものを出してみたら結局はその人の性質によるところが大きく、相手に与えられるものを考えてみてもすぐに身に付けられるものでもないのでしょうがないなと思いました。結婚したいなと思う女性を見つけたら一生懸命口説くしかなさそうです。