留学について

・上松 正和

・ 行った場所 :クリーブランドクリニック(アメリカ)

・ 行った時の学年・月 6学年 5月

・ 行く方法 :5年時の終わりくらいに希望するものは学生係に名前と希望する月を書くように指示される。(二外科のクリクラとはまた別なので留意。留学を希望するという意味でクリクラの選択に二外科を書いたら、留学&二外科クリクラになってしまった)

・ かかった費用 :20~30万円(以前は2外科からの援助があったが、今は全て自費で行くので留意のこと)

世界的に有名なクリーブランドクリニックに二外科のご好意で留学させてもらえる。部門は肝臓部門で、特に日本ではほとんどみられない脳死移植を頻繁に見ることができる。様々な国から来ており普通の英語を聞き取る以上にハイレベルな英語力が必要となるので、結構がんばらないといけない。でも一番難解なのは黒人ネイティブだったりしてなかなかサブウェイの注文で思い通りに頼めなかったのは良い思い出。スクリーンショット 2014-04-20 22.56.20

医療者達は超一流の人ばっかで相手してくれないんじゃないのかと腰が引けてしまいそうだけど、自分から話しかけるとけっこう自分の医学知識もイケルんじゃないかとかも思う。
あと手術に入ることも出来たりしてするそこで初めて吸引の方法や針の使い方を学んだ(患者が脳死認定されてる場合のみ)スクリーンショット 2014-04-20 22.56.37

近くにはナイアガラの滝がある。九大生は普通は2人ペアで留学するらしいが、適当に5月が良いって書いたら一人で行くことになった。しょうがないので同時期に留学してたシンガポール人とギリシャ人とナイアガラの滝やクラブを楽しんできた。スクリーンショット 2014-04-20 22.57.26

あと留学の間は近くのホテルに泊まると一泊一万する。二人で割れば1人5千円で済むが1人だったのでちょっと遠めのところにホームステイしたら3週間で4万円で済んだ。また色々連れてってくれたりするので楽しかった。ただ移植はいつ入ってくるかわからないので、近くのホテルに泊まることをオススメする。俺は移植のときは同時期に留学していた東北大学の友人に一泊2ドル(ベッドメイキングチップ)で泊めてもらってた。電話がかかってくるのでアメリカ番号の電話もレンタルしていくこと。(wifi番号アプリではちょっと厳しい)スクリーンショット 2014-04-20 22.57.37

総括:留学は色々と楽しいのでサラ金に金借りてでも行ったら良いと思います(どうせ1年後には返せるし、利息20%以上の価値があったなと多分思える、国試落ちなければ)

Peninsula Medical School (PMS) Exeter校 留学報告

山本 俊亮

 

・行った場所:PMS- Exeter校 (United Kingdom)
・行った時の学年・月:5年生3月
・行く方法;医学教育振興財団の実施する英国短期留学プログラムです。応募のために事前にIELTSを受験する必要があります。学内選考(各大学から2人まで。私の代は九大からは1人しか応募がなく、学内選考はありませんでした。)・書類選考・面接で全国で20名が選ばれます。渡英前にVisa取得の必要あります(取得するVisaの種類は大学によって異なる)。実習する科は大学ごと、キャンパスによって異なります。
・かかった費用:
航空券 約22万円(福岡⇄羽田⇄Paris⇄Exeter)
宿泊費 £276.52 生活費 約£250
財団から10万円、医学部同窓会より5万円の補助あり。(帰国後)
1.配属科決定について
例年の報告(学生係に今までの報告書あり)や先輩のお話から、PMSでは1週間1科で計4科を見学できると思っていたのですが、私の場合は何故か自分の希望が通らず1ヶ月間Dermatology配属となりました。しかし、事前交渉や現地での交渉(直談判・メール・電話)を何度も行った結果、Minor surgery・Oncology・Hospice・Paediatricsでの見学・実習の許可尾頂きました。たとえ希望が通らなくても最後まで諦めず交渉を続けることが大事だと実感しました。

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以下ではメインとなったDermatologyでの実習の様子について軽く報告したいと思います。
2.Dermatology
ここでの実習は基本的に手術見学・外来見学をしながら先生方のレクチャーを受けるという形式でした。初日の手術見学の際、日本でそれまで見てきた手洗い・手袋・マスク・ガウン…といった徹底した清潔操作とは異なり、簡潔な手洗いと手袋装着のみで行われる手術や手術室にナース達が紅茶を持ち込む様子には衝撃を受けました。そういう清潔・不潔の観念も含め、外科のレベルは(少なくとも皮膚科に限って言えば)日本の方がずっと優れているという印象でした。

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外来見学ではとても良い勉強が出来、日本と英国の大きな違いも実感することができました。患者さんが部屋に入ってくると必ず、先生は私たち学生に対して鑑別は何かと尋ねてきました。それまで大学の実習で紫斑以外の皮膚所見をほとんど見たことのない私にはただの1つも鑑別を挙げることが出来ませんでしたが、隣にいた3年生のEleanorは鑑別を2、3挙げたあとで、その他の症状と合わせて患者さんの疾患を言い当ててしまいました。自分が何も答えられなかったことを悔しく思うと同時に彼女の臨床能力の高さに驚き、なぜそんなに鑑別がスラスラ挙がるのかと問うと、他科実習でも似たようなことを沢山やってきたからだろうと答えてくれました。日本では患者さんを目の前にして自ら診断をつけるという機会はあまりないので、患者さんと接する機会の多い英国の医学教育をとても羨ましく思いました。また、患者さんに「診察しても良いですか?」と問うと、ほとんどの患者さんが「もちろん、君の勉強になるのであれば好きなだけ診察してよ!」と快く承諾してくれました。このように、患者さんの理解が得やすく、英国では学生がclerkingや身体診察をする機会に恵まれていることも、学生の臨床能力の高さに関係あるのではないかと思いました。

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一方で、英国の学生達には基礎医学の知識は少ないように感じました。例えば、先生に「皮膚の組織構造を図示してみて」と言われると、彼女達は「表皮って確か3〜4層くらい層があったよね?」といった様子で、その場にいた3人の学生達は誰一人として表皮の層の名前を答えることが出来ていませんでした。短期的に見ると英国の医学教育は学生の臨床能力を高めることに長けており非常に魅力的だとは思いますが、長期的に見ればそのような差は経験を積めば自然と埋まって行くと思いますし、基礎医学をしっかり学ぶ日本の医学教育の方が病態を深く考察できるようになるので良いのではないかという印象を受けました。

3.まとめ
字数制限の関係上割愛させて頂きましたが、この他にも日本の医療と英国の医療の大きな違いを実感する場面が沢山ありました。上記の報告の中では英国医療をやや批判的に記述しましたが、私が言いたかったのは英国文化において日本の医療は成立しないということ、逆に日本文化の中では英国の医療は実現できないということです。それぞれに全く異なる性質があるからこそ、実際に体験することでそれぞれの長所・短所が見えてくるのだと思います。私にとってこの短期留学は、日本の医療・日本の医学教育について深く考える良いきっかけとなり、また、自分の将来を考える上での1つの判断材料となりました。日本人にとっての留学は言語のdisadvantageを抱えることになり厄介なものであると感じる人もいるとは思いますが、留学することでそれまで自分の中で当たり前だったことが当たり前ではなくなったり、新しいものの見方・考え方に出会えたりと、留学以降の自分の中の選択肢が増え、皆さんの人生をより豊かなものにしてくると思います。私が参加したのと同じプログラムである必要はありませんので、是非皆さんも大学や色んな団体の実施している留学プログラムに参加して、自分の世界を広げてみて下さい。

 

というわけでここではアメリカとイギリスを紹介しました。まだドイツや韓国などもあったりするので自分で探してみてください。