九大医学部の6年間

九大医学部の6年間をまとめます。これから何があるか知っておくと自分のしたいことに集中できると思うので、参考にならないこともあると思いますが参考にして大学生活を楽しんでみて下さい。

1年:俺らのころは六本松キャンパスであったが、これを読んでる人は全員伊都キャンパスにて教養科目を受けることになる。うろ覚えでしかないが、基礎科目はだるくて、コア科目は楽しかった記憶がある。特に生物コアでは黄金虫の構造色の話や、蚊のエネルギー効率の話など、いかにも大学っぽい話が聞けた。人間性や社会性の講義は必須で、出席を求められるが、囚人のジレンマや、レミングスの生存戦略のパラドックスなど面白い話はあるが、おおよそ教養と呼べるような大した話はしていない。自分は人間性の授業中に「赤毛のアン」を読んでいた。教員の授業よりよっぽど人間性の勉強になったと思うが、今の自分を見るとそうでもない気もする。また1年生の医学専門ではエッセンシャルを学ぶことになり、初めての専門の試験で緊張するかもしれないが、教科書読んで過去問やればまず大丈夫なはず。

 

2年:1年後期までに全ての教養科目を履修してしまい、英語もTOFLEなどで良い点数を取ってしまえば2年前期に伊都に行くのは逃れられる。免除に届かなかった英語科目はe-learning形式でパソコン上でカタカタ問題を解いて行くことを伊都キャンパスでさせられることになるが、大学本部はその矛盾をそろそろ修正できているのだろうか。

医学専門は2年後期から3年前期までがキツさのピークとなり、「大学は遊ぶところ」というのが医学部に限っては当てはまらないことを思い知らされる。特に解剖、生理、生化がかなりの負担になり、留年という言葉が一般的な感覚になってくるが、過去問を中心に勉強を深めればよかったかな。過去問にないのはどうせ下半分は出来ないし、国から多額の補助金が出ている医学部という性質上そんなに落とすことはないだろうと思ってたらうちの学年は普通に(6年間で)20人近く落とされたので、ちゃんと勉強しよう。

 

3年:主に基礎から臨床へとシフトしていくが、講義内容もテスト内容もあまり覚えていない。出席の小紙というものに対してだけ注意を払っていた。寄生虫講座は好きで、自分で寄生虫の勉強用の本を2冊ほど買ったが特段試験の役には立たなかった。参考にならなくて申し訳ない。が別に(留年さえしなければ良いと考えてる人にとっては)その程度のことと思ってもらえればよい。

 

4年:4年生から週一回のテストラッシュがはじまる。過去問をやれば、大体は行ける(だろう)。また4年からCBTという国試の簡易版が行われる。全国と大学内の順位が出るということもあって、これからちゃんと勉強するという人も多い。というよりここでちゃんとやれば、5年の病院実習の見ているものの意味がある程度わかるようになる。CBTはプール問題といって主に過去問から出題されるが、クエバンだけでなく、tecomやmecを利用してクエバンを解いて行くとサクサク進む。特にクエバンなどは自分と同じくらいの知識レベルの先輩の書き込みなどがあるものを利用するとよい。いちいち自分で用語を調べる手間が省けて捗る。ただ問題は近年のものを中心に出されるようなのでそこには留意すること。

 

 

5年:ポリクリ(病院実習)がスタート。診療科をメジャーは2週間、マイナーは1週間ずつまわる。寝坊癖が抜けず何度も同じ班の人にカバーしてもらった。科によってそのきつさはだいぶ違う。班を超えて情報共有するといいだろう。近年の国試では実習でみた機材や診断手順などを出すようになってきているので、その様子はしっかり見ておいた方が良い。またオペや授業の空き時間がかなりあるので、大学側は空き部屋などを用意して使わせる方が学生の生産性はずっと高まるだろうが、今、大学内の建て替えラッシュがそれに寄与するかは不明。実習中はiPad miniに電子版yeranoteを入れておくとよい。miniのサイズが一番持ち運びやすい(白衣に入る)し、電子版だとすぐアトラスも見れるので担当患者さんや回診の時に参考になるだろう。

空いた休みには病院見学に行ったりする時期になる。6年のマッチングでどこ受けるのか見当をつけるとよい。

 

6年:基礎配属、クリクラ、マッチング、卒試、国試がある。

基礎配属は4月に診療科、基礎科の中のいすれかを選び研究活動をする。医学教育講座を選ぶと、留学のための勉強法の研究とかこつけて英語の勉強ができるのでお薦め。多分、国試の勉強法の研究とかもOKになるはず。クリクラはポリクリとは違い、自分の希望する科にて1ヶ月間まわることになり、させてもらえることも広がるし、放置してもらえるところも存在するのでポリクリの時に医局員の先生によく話をきいておくと良いだろう。マッチングは別ページに、まとめているので参照のこと。10月からの卒業試験は怒濤の試験ラッシュ。週に3~4個あるのは普通。国試を控えての卒業試験は負担が大きく、かなりの学生がよく思っていない。基本は過去問でなんとかなるが、九医クラスタのつぶやきには #衛生学許さん というハッシュタグが一時流行した。が落とされた人はいなかった。最も落とされたのが公衆衛生。自己採点では8割を超えたのに落とされたという人もいて、さらに試験後に公衆衛生のアンケートを記入させられたので、ただのアンケート有効化のためのサンプル無作為抽出に近い意味合いだったように思われる。国試は国試のページ参照のこと。

 

6年間を振り返って思う九大の良いとこ悪いとこ

まず、なんといっても立地が良い。福岡ほど大学生が過ごすのに適している場所はあるだろうか。遊ぶ場所や書店、アウトレットモールなど、様々なサービスの質・数がほどよくあり、それが大学生にも手が届く価格で提供されている。空港なども大学から15分程度で行けるので、ちょっと東京や関西へと思った時もLCCを利用して、すぐ行ける。海外への便もそこそこある。土地代も安く、車を持つのにもそんなに負担にならないし、例えばキャンパスも東京の有名な医大よりも5倍近くは大きく、過ごしやすい。なお伊都は福岡市内ではあるが例外的に人の数よりも牛の数が多い(という噂)

人も面白い。福岡人はその都会性と田舎性の二つをバランス良く備えた人達が多い。都会の掟で振る舞い、田舎の自由さで遊ぶ。逆も然り。人の好さを持っている人達も多く(東京のような他人に対する無関心さや警戒心を持ってる人が少なく)温かい反面、しょーもない人達に騙されやすい一面もあり歯痒さを感じることこともあるがそれも含めて愛らしい。美人も多いので基本的には幸せな一日が送れる。

食べ物も安くてうまい。中洲はもちろんのこと、天神・博多・赤坂・薬院・平尾・大名・今泉・伊都などで美味しいものが東京の半額~1/3で食べられる。料理のレベルも引けをとらない。しかも上記のように食べる場所が集中しているわけでもないので、お忍びなどでもあまり不安がなく楽しめる。大学近くの料理店や福岡自慢のラーメンの名店などを別ページにまとめてあるので参考にしてみてほしい。生活にぐっと潤いが出て来るだろう。

また、さすが旧帝国大学医学部とあって、学習能力が高い人達が多く、勉強に限らず刺激を受けることもあるし、自分に余裕がある人達も多いので突出した人への嫌がらせや、幼稚な自慢大会などがなく窮屈な居心地になることもない。教授の先生方も学生を信頼してくれてるのか、のびのびやらせてくれることが多く、自分の頭を使う良い訓練になったと思う。それが故に、テスト勉強に失敗する学年もあったりするが、後々にはそれも国家予算を費やすだけの良い経験になるはずなので、近年の学生締め付け傾向は賛成し難い。医学部は6年後に、大学受験のような偏差値評価の医師国家試験に合格させる必要がある知識詰め込みの専門学校的な要素をもつ学部ではありますが、九大にはこれからものびのびと自分も含めて周囲の人達を愛し続けられる強さを身につけられる大学であり続けて欲しいと思います。九大には沢山お世話になりました。心から感謝しています。九大は自信を持って受験生達にお薦めできる大学です。

Kより
「卒業試験について」

卒業試験は9月の終わりから11月中旬までの約1ヶ月半で行われる。試験対策として過去問集の「標準九大医学」というものが学生主体で作られている。5年次の11月の後半、先輩の卒業試験が終わったころから作成が始まり、過去の卒業試験・概説試験を集めて解答解説の作成の担当が割り振られる。3月ごろまでに解答解説が作られ、代表者によって編集・印刷が行われ、7月ごろに配布される。それを使って試験対策を行うのだが、5年次に作ったもののため誤りも多く、担当によって解答解説の詳しさも違ってくるので、多くの場合講義プリントを見ながら、解答のチェックを行うこととなる。その際、後輩の講義プリントが非常に役立つことがある。

卒業試験は科によっては国試レベルをはるかに上回る難度の問題が出ることもあるため、国家試験には役に立たないと言われることが多いが、私としては卒業試験での知識がその後の国家試験の勉強中に役に立つこともあったので勉強する意味はあると思う。1ヶ月半の試験というのは非常に大変だとは思うが、先生方も鬼ではないのでしっかり勉強して臨めば無事合格できるだろう。

参考:平成25年度卒業試験の結果

不合格者数

18人(公衆衛生)

3人(循環器)

2人(衛生学)

1人(脊椎・運動器、アレ膠、受成発、侵襲医学)

0人(その他)

 

 

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