東北時代

初期研修2年+後期研修1年を東北で過ごしました。「なんで東北に来たの?」とは何百回と言われました。色々と理由はあり、その場その場で納得してもらえそうな理由を言っていました(ただうそじゃなくて全て本当のことです。天神の母と呼ばれる占い師に「東へ行け」と言われたのも本当です)があまり口にしなかったものの一つが「震災があったから」というものです。

といっても震災復興に取り組みたいと思うほど私は殊勝な人間でもありません。私の頭の中では東北はあってないようなもので東北といっても蔵王のイメージが9割方を占めていました。震災があって「傷つけられた地域」というものイメージが加わりました。その出来上がったイメージの中では、メディアで東北の良いところが取り上げれられるたびに「無理してる感」があってやはり好意的な印象はありませんでした。

こういう時にあまり価値のないものが善意で応援を受けたりすると、本当に良いものの価値が薄れたり、良いものを作っている人たちのイメージを逆に悪くしてしまったりします。最悪の場合は多くの人の善意を利用した震災ビジネスめいたものが現れたりします。特にこれから福島に善意を持って行かれる方は放射能よりもそういった関連に気を付けられると良いと思います。生活する分には放射能は大したことはないでしょう。

まずは自分の目で見てみようかとこの土地に来てみました。以下はただの私の楽しかった思い出で、しかも無駄に長いので結論だけ先に。
「初期研修ぐらい自分の知らない土地に行ってみるといい。人と合わずに一回くらい病院辞めるかもしれないけど大したことじゃない。求めればそのうちに合う人たちにも会えるし、楽しいから。」でした。

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まずは春夏秋冬。東北は面積がだだっ広く、一つ一つの規模が大きい。

春 (三春滝桜、弘前城桜祭り)
春といえばやはり桜。東北の桜といえば福島の三春滝桜と弘前城の桜祭り。前者は個のスケール、後者は土地のスケールで両者とも圧巻だった。

夏(ねぶた祭り、大曲花火大会、長岡花火大会)
東北の祭りといえば、ねぶた祭り、さんさ踊り、仙台七夕と見て来たがやはりねぶたは存在感がすごい。博多でいう山笠だろうか。一度目にすると忘れられない。そして夏の東北の花火大会は凄い!3大花火大会の二つがあり、大曲は個々の技を競い、長岡はみんなの力を合わせたような仕上がり。どちらも桟敷席で見ることができて幸せだった。新潟は東北でいいよね?

秋(ツールド東北2015、2016)
東北に行く直前に福岡のgyanという自転車屋さんの夫妻から「東北は自転車の聖地だから」と送り出されたわけだが行くときはピンとこなかった。ただきてみてわかった。こんなに広い土地があるんだもの。日本の代表的な自転車競技「ツールド東北」も開催されていた。初年度は抽選落ち。次年度は170km(写真上)。最後は211kmの気仙沼フォンド(写真下)を完走した。実は2年目の170kmでかなり体力的にやばいなと思ったが、211kmでは寝坊してさらにスタートが遅れたがgyanに良い自転車を送ってもらっていたので体力的に楽にスイスイごぼう抜きできた。gyanさんあざす。
冬(スノボー、ワカサギ釣り)

東北に来てから雪が普通になった。上の写真はケニア人だが、彼は難なく滑っていた。私もスノーボード・ウェアを買ったのだがスノボーに足はあまり向かなかった。下は岩洞湖のワカサギ釣りの様子だが、また行きたいと思うぐらい楽しかったのでやっぱり雪は滑るものじゃなくて掘るものだなと思っている。ちなみに釣った岩洞湖のキスの天ぷらは味わいの透明感がすごくてめちゃめちゃうまかった。

(ワカサギ釣りの時は写真撮るの忘れたのでネットから写真を拝借)

次はスポーツ。東北は広くのびのびできる。自分が好きだったものをランキングで。

3位:マラソン
フランスのワインマラソンに出るために色々と東北のマラソンに出場した。東北の広さと自然の雄大さはマラソンをするにうってつけだった。そしてそのマラソンをより楽しくしようと仕掛けも工夫されている。いくつも出場出たのだがその中でもフルマラソンでは東北風土マラソンが一番。東北FOODマラソンでもあり色々な特産品を食べられる(写真上)。いつか本当にメドックマラソンのようになって欲しい。またマラソン全体では山形東根市の「さくらんぼマラソン」。街全体がマラソンを作り上げていて走りながら感動してしまった。お礼のつもりでここにふるさと納税をしたのだがその「プレミアム10、1年リレーコース」もすごく美味しいものばかり送ってくれて二重に感謝した。良い町だったなぁ。

2位:釣り
放射線科の師匠に色々と連れてってもらった。スノボーウェアはこのために買ったとも過言ではないくらい役に立った(写真上)。東北に来て魚を釣ることになるとは思はなかったけど良い時間だった。釣れたあとは料理するのも楽しい。下の魚はヒラメだが実は師匠が釣ったもの。立派なヒラメをさばけるとは良い経験になりました(タコは自分で釣りました)

1位:フットサル
岩手県一関市に来た時にフットサルができるなんて思ってなかったけどまさかここにフットサル東北リーグに参加しているチームが。初期研修医時代は週2回+αで練習に参加させてもらった。迷惑かけながらも伸び伸びとさせてもらったことに感謝している。東北2部リーグ優勝にちょびーっとは貢献できたかもしれない。本当に強いチームだった。これからも活躍して欲しい。
最後は温泉のランキング。医師はその性質上病院に拘束される時間が多い。勉強もしなければいけないから机の前にいる時間も長いだろう。でもそこでもなんとか時間を作って外に飛び出そう。せっかく人生の一部を新しい土地で過ごすのだから。

3位:不老不死温泉(青森・白神山地)
青森までの長いドライブの価値がそこにはある。ゆっくりと海岸に沈む夕日を温泉に入りながら堪能できる。また白神山地に入ってのアカショウビン探しは童心に帰るように不思議と元気になる。白神山地は東北の中でもおすすめスポットの一つ。

2位 旅館:古窯 (山形・蔵王近く)
研修医の連中で研修お疲れ旅行に行った。途中で寄ったキツネ村や蔵王でのスノボーなども楽しかったがもっともよかったのが旅館での皆で書いた楽焼。それぞれが自分じゃない人間を書いていったが何度振り返っても良い作品になっていると思う。

1位:鶴の湯(乳頭温泉・秋田)
全てを知っているわけでは全然ないが東北の温泉といったら間違いなくここだろう。その白濁した湯や部屋にある囲炉裏を使った焼き魚もそうだが私が一番感動したのがその料理に添えられたふっくらとした白いご飯。あまりにも美味しくてこの米は何かと尋ねると「ふつうのあきたこまちですよ」と笑いながら返答が帰って来た。平凡なものに丁寧な仕事をして慎ましやかに振る舞う東北人の気質に触れた気がしてつい嬉しくなった。本当に美味しかったなぁ。

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これで終わりです。自分で振り返ってみて東北時代を最後に一言で表すといえば「贅沢」です。こんな伸び伸びとできるとは思いもしなかったです。本当に感謝しています。東北に来てから初めての一人暮らしになりましたが、特に岩手にきてから料理も少しできるようになりました。岩手はキッチンも広いし食卓も広かったですからね。博多の居酒屋の定番の「山芋鉄板」を東北の人が食べて「美味しい」といってくれた時は嬉しかったです。

それでは。

p.s.
東北のディープなことはきっと彼が今後書き続けるのだろうなと期待しています。
一関の猊鼻渓に遊びに来てくれたたきい君。タモリも何度か一関に来てますが同じようなオーラが見えます。この「大学生の歩き方」を開始する前から毎日欠かさずブログを更新し続けている。あの時はまだ稚魚みたいな文章だったが最近の文章は平成の文豪みたいになっていて。人が育つのが早いのか彼が育つのが早いのか。東北で彼は何を見るのか将来の楽しみの一つです。