新聞連載をしてみて

11月から地元の新聞社でコラム連載を始めて3ヶ月経ちました。どんなものかなと思ったんですが、思ったほどは反響はありません(笑)。院内で看護師さんたちにバレたりはするんですが、患者さんから2〜3人の方から「読んでますよ」的なことを言われたぐらい。5万人程度の方しか読まれないのでそこはしょうがないかなと思います。ちょっと傷心ではありますが。新聞社からは「読者から反響が編集局に届いています。取材対象者以外の声はあまり編集局にはこないのでこれはすごいことですよ!」的な気を遣ってもらったメッセージを頂くのですが、それはそれでよく読むと哀しくなる響きがします。

そもそも何で新聞で連載する記事を書くのかっていう話なのですが、単純に書くのが好きだからです。ただ、何で「新聞」で「連載」するかっていう話は別です。

「新聞」は斜陽産業のひとつです。軽減税率の適用の際に(ネット上では)かなり議論になりましたが、生活するための情報収集にはもはや必需の物ではありませんし(スマートフォンで情報収集する方が早く正確で社説よりも鋭い指摘が往々にして見られる)、その価格も非常に高く積極的には購買意欲は湧かないものです。今後は地方紙の統廃合が進み、次に全国紙の現在の形態(紙を刷って配る)が消えスマホやIoTアプリケーションにうまく適合できない新聞は淘汰されていくのだとは思います。

ただ現実としては高齢者は読んでいます。特に地方の高齢者には情報の提供としては強いアプローチになります。また、高齢者やそこまでITリテラシーの高くない方々には一種の「新聞・テレビ信仰」があります。新聞・テレビだから本当のことを言っている、新聞・テレビに出ているから偉いんだ、的なものです。そうすると一時的とは言え、言っていることを信頼してもらえますし、治療の方法を守ってくれます。新聞やテレビは実際は大したことを言ってないですし、別に偉くも何もないんですが。それでも「信じてもらえる」というのは特に初めて顔合わせする夜間救急外来などでは治療を進める上で一定の価値があります。救急外来の待合室に記事をまとめて置いとけばなお良しです。

それと「連載」にしたのは「誤解がないようにすること」と「面白いものにすること」が目的です。書きたいことがいろいろある場合には複数の紙面で単発で出していけばいいだけですがそれでは上記の2つは無理です。
初期研修医のくせにそんなこというのどうなん?とかなりの方から責めを受けそうですが、まず医師の紙面での一般の方々に対する記述はしょうもないものが多すぎます。書いてくれと言われて書いたりとかいう方もいることはお察ししますが、「〇〇に注意!」的な記事を書いてドヤっとしている方を見ると確信犯的な偽善に吐き気を覚えます。

一般的に不安を煽る記事を書くのは簡単です。世の中には危ないことはいっぱいありますし、読んだ人が実際危ないことに遭ったらあの記事読んどいてよかったと感謝されることさえあります。ただその影では、なんでもないのにやたら不安になっている大勢の人がいますし、その一部が医療機関に殺到することでしょうもない事例をひたすらしなければいけない医療者の疲弊の問題もあります。また過剰な受診は国民の税金を無駄に消費していることと同義です。
また「自分が安全地帯にいられる」というのがこのような記事を多くする理由だと思います。「〇〇に注意」と書けば、注意してくれてありがとうと言われても、不安になった人にお前のせいで不安になって病院まで行ってQOLが下がったなんて言われることはないと思います。しかし「〇〇に注意」と書くのは裏返せば〇〇なのに何もしなかったあなたが悪いよと責めているだけです。こんなことを書く人はいないと思いますが「子供の発熱に注意」、「子供の発熱の中には尿路感染症が隠れていて急にヤバくなることがある」なんて言った日には何が起こるか想像がつきますね・・・笑。ちなみに私としてはこのように書いてみました。(岩手日日新聞社 12月21日)
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どうでしょうか。文章の後の挿入の画像がまさかの長い文章のPDFでこれ以上は読んで頂けない気がしますが、ここまで読んで頂けただけでもすごいことだと思います。ありがとうございました。以下続けます。

いやあ面白いですね。うん実に面白い新聞記事ですね。はい。この新聞記事をちゃんと読んで欲しくて少し語気を強めた文章を書いてしまいました。すみません。でも読んでもらえたら何が言いたかったかわかってもらえたかと思います。もうグダグダ言いません。

私としてはこのくらいでいいんじゃないかなと思います。不安を煽るような記事の方が人目を引きますが、この程度でも我慢して連載を続けて頂いている岩手日日新聞社の方々には感謝しています。新聞業界の未来は暗いですが、地方新聞は地方記者にしか見えない事実や発見を掘り起こして住民や地域をプロデュースできるようになったら根強く残っていくと思います。比率としては9割方暗雲ですがどうせ何もしなければ10割暗雲なので応援しています。

ちなみにこのタイミングで書いたのは、やっと初期研修終了の要件であるレポート32件が終わったからです。今いる病院ではかなりしっかりレポートの添削などをして下さる(それゆえにコンスタントに一枚/month以上書いて提出するよう催促される)のですがレポートはあらゆる人の生産時間を削るだけで誰も得しないので、もういっそのことやめてしまって、現在国が進めている(迷走している?)こういった総合診療的な活動を評価すればいいんじゃない?と読んでいる厚生労働省の方にお伝えしたかっただけです。こういうのは個人や病院のお金にならないけど、進めれば国や自治体の財政の健全化にもなるし。あと1ヶ月で全部した私が悪いですが、やはりレポートは地獄でした。誤字脱字の訂正で時間とられるし(新聞記事なら編集局で直してくれる)。レポートするぐらいなら本読んで勉強したかった。。。終わり。

 

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